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最高裁判所第三小法廷 昭和43年(オ)113号 判決 1968年7月09日

上告人 東進

右訴訟代理人弁護士 北川正夫

被上告人 藤居正太郎

右訴訟代理人弁護士 信正義雄

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人北川正夫の上告理由一および二について。

本件訴状に所論の記載があることは記録上認めることができるが、被上告人が後に「仮に所論家屋明渡の約定がなかったとしても、本件代物弁済による本件家屋の譲渡契約にもとづき本件家屋の明渡を請求する」旨追加陳述したことも、記録上明らかであり、論旨は、その前提を欠くものであって、原判決に所論の違法はなく、採用することができない。

同三について

およそ、債務者がその占有使用する家屋所有権の譲渡をもって代物弁済をしたときには、同人に右家屋の占有使用を許すなどの特段の約定のない限り、同人は右代物弁済契約の履行として右家屋を明け渡す義務があると解するのが相当である。したがって、右と同旨の見解のもとに被上告人の請求を認容した原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はない。また、原審が所論の認定判断をしたからといって、被上告人の請求を認容すべきでないとすることもできない。所論は、ひっきょう独自の見解のもとに原判決を非難するものであって、論旨は採用できない。<以下省略>

(裁判長裁判官 松本正雄 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 飯村義美)

上告代理人北川正夫の上告理由<省略>

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